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2021/09/17
インタビュー

「自分を生かす」働き方、生き方を共に創る3ヶ月のプログラム”EMERGE”。プログラムを終え、自身に湧き上がる今の想いを聞いていくインタビューシリーズ。今回は第2弾に参加者の加藤信一朗さんに話を聞きました。

プロフィール   
名前:加藤 信一朗 
所属:フリー
経歴:大卒→ベンチャー(新卒採用支援)→ワーキングホリデー→採用アウトソーサー→アマゾン→フリー
年代:30代後半
※EMERGE 第2弾参加者

直感で進むべき道を選んできた半生

子供の頃から、自分の直感や「面白そう」という感覚で進むべき道を選んできたように思います。たとえば中学の部活を決める時、興味のある部活をいくつか絞った状態であみだくじで部活を決め、テニス部に入りました。テニスは全くの初心者だったのですが、中学高校と6年間続けました。練習がつらくて「辞めたいな」と思ったことはありますが、「あみだくじで決めなければよかった」と思ったことは一度もありません。

それは、あみだくじで出た答えによって決めるのではなく、「あみだくじで出た答えに対して自分がどう感じたか」で決めているからです。部活の例でいうと、もしあみだくじで「テニス」と答えが出た時に「あれ、なんか違う気がする」と若干の違和感を覚えたら、テニスは選択肢から外します。中学の部活にかぎらず、何を選択するか迷った時はあみだくじやコイントスを使って、進むべき道を選んできました。

友人と登山をした時に撮影した一枚

どの大学に進学するかを決める時は、「面白そう!」という感覚で選びましたね。2つの大学に合格したのですが、一つは実家から通える範囲にある、いわゆる普通の大学。もう一つは生徒のおよそ半数が留学生という、大分県にある国際色豊かな大学。しかも、当時はまだ設立されて間もない状態で、卒業生がいませんでした。

前者を選んだ場合、授業にバイト、サークル活動と、ごく普通の大学生活を送る自分がぱっと浮かんだのですが、後者を選んだ場合、慣れない土地で留学生に囲まれ、どんな大学生活になるのか全く想像がつかなかった。「想像がつかない方が絶対面白い!」と思い、後者を選びました。結果的に、大学選びは大正解。毎日が楽しかったです。そして、大きな気づきが得られました。

それは、自分のアイデンティティに関して。私の家庭は転勤族で、幼い頃から転校を繰り返していました。そのため、「地元」と呼べるような場所がないことにどこか引け目を感じていました。自分のアイデンティティに疑問を抱えたまま大学生になったのですが、そんな中、大学で、香港で生まれ、家族のルーツは中国で、英語を話し、日本の大学に学びにくるまではタイに住んでいた友人と出会いました。友人に「自分のアイデンティティはどこにあると思う?」と聞いたら、「うーん、国籍がタイだから、タイかな」とさらっと言ったんです。

その発言を聞いた時、「どの国や地域をふるさとと感じるかは自分次第」「ふるさとや地元は、あくまで自分を構成する一要素」「自分は自分のままでいいんだ」と衝撃を受け、初めて自分という存在を受け入れられた気がします。この経験が、自己受容できるきっかけになりました。

「面白そう!」という感覚から選んだ大学でしたが、自分のアイデンティティに関する大きな気づきが得られたと同時に、海外への興味関心もますます強くなりました。大学卒業後、一度就職したものの、「海外で働きたい!」という気持ちが収まらず、新卒で入社した会社を退職してカナダ・バンクーバーへ。ワーホリで約1年間滞在しました。

ワーホリ滞在中にバンクーバー五輪が開催されており、実際にカーリングの試合を観戦した

バンクーバーでの生活は楽しかったものの、海外で働くことのハードルは高く、結果として大きな挫折を味わいました。英語力が足りないこともそうですし、「自分には勝負できるものが何もないんだ」と痛感したことも大きかったです。1年間の海外生活を終え、貯金も底をつきそうだったので、とりあえず日本で就職しようと決め、帰国。手当たり次第会社の面接を受け、たまたまご縁があった会社に就職しました。

やりたいことが見つからないまま、死にたくない

それなりに楽しく仕事をしていたのですが、2020年3月に、肺炎にかかりました。ちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大し始めていた時期で、「コロナに感染したかも」と怖くなり、検査結果を待つ間、それまでどこか他人事のように感じていた「死」を身近に感じるように。PCR検査の結果は陰性で、肺炎も無事に治りました。

一連の出来事を通して強く感じたのが、健康であることのありがたみと「やりたいことが見つかっていないまま、人生を終えたくない」という想い。なんとなく続けていた仕事を思い切って辞めようと決意し、次の進路を決めないまま、2020年10月に退職しました。

次の進路を決めなかったのは、自分が何をやりたいのかが分からなかったから。今まで直感で答えを選ぶという、積み上げ型の思考で生きてきましたし、その結果選択してきた答えに対して満足しているものの、どこかで限界を感じていたように思います。そんな時、新卒入社した会社の先輩がEMERGEに参加した記事を目にし、プログラムに興味を持ちました。

そして、EMERGEファシリテーターの深町さんを紹介してもらい、1時間半ほど話をしました。少し話しただけで自分の内面や性格を見抜いてくれ、悩みに対するアドバイスも的確だなぁと感じました。EMERGEのプログラムは有料なので少し迷いましたが、思い切って飛び込んでみることにしました。

最後にすべてが繋がった!

EMERGE全体セッションの様子

EMERGEでは、全体セッションやファシリテーターとの対話を通して、自分の強みや好きなことを改めて整理することができました。退職したことで時間もたくさんあり、とことん自分と向き合う中で出てきた答えが「目の前の人の人生が豊かになるための仕事に就きたい」。元々、目の前の人が楽しんでくれたり、喜んでくれたりするのが好きで、本来の自分は根っからのお調子者。場を盛り上げたり、明るくしたりすることも好きです。

一方、自分の強みといえば、人を見ること。少し話しただけで、目の前の人がどんな人か、何に悩んでいるかを読み取り、相手に伝えることが強みなんだと自覚しました。好きなことと強みを掛け合わせ、目の前にいる悩みを抱えた人の気持ちが少しでも晴れるようなアドバイスやカウンセリングをするような仕事に就きたいと思っています。

この答えに行きつくまで、随分と時間がかかりました。EMERGEが始まって1ヶ月半ほど経った時期に行われる中間発表の時点ではまだ何も見えていなかったですし、答えが見つかったのがEMERGEの最終発表の1週間前。答えが見つかった瞬間は、全てが繋がった感覚で、「やっとたどり着けた!」と安堵しました。

EMERGE期間中は毎日自分のことを考えていましたね。たとえば、「EMERGEの全体セッションで〇〇さんに✕✕と言われたけど、あれはどういう意味だったんだろう?」とか。EMERGE期間中、答えが見えてこなくてずっと苦しんできましたが、愚直に自分と向き合ってきてよかったと感じています。

EMERGE参加前は再就職も考えていましたが、EMERGEを通してやりたいことが明確になった今、個人事業主として開業し、キャリアコンサルタントになりました。目の前の人の人生が豊かになるための仕事という軸はぶらさずに、突き進んでいくつもりです。

「自分のやりたいことが分からない」という方はきっと多いと思います。やりたいことを見つけたい方にはぜひおすすめしたいプログラムです。一人で自分と向き合い続けていても、堂々巡りで前に進まない、答えが見えてこないことが多いのではないでしょうか。人を見ることに長けているファシリテーター達との対話を繰り返したり、バックグラウンドが異なる参加者とフラットに話したりすることで、思いもよらないアイデアが出ることもあり、それが答えにたどり着くためのヒントにもなり得ます。「飛び込んでみたらきっと面白い世界が待っているよ!」と伝えたいです。

インタビュー・記事執筆(鈴木麻由)

EMERGEプログラムサイト