トピックス

2020/10/30
イベント

 

近年、ビジネスと社会貢献の融合という大きな流れに、新型コロナウイルス感染拡大が加わり、人も地球も持続可能な世界へと向かう動きは加速しています。今回の座談会では、社会的事業/起業のキャリアを歩むために、グローバルMBAの道を選んだ4人が一堂に会し、なぜその選択をしたのか、いま何を考えているのか、飾らない本音の対話が行われました。MBAや社会的事業などの定義や中身よりも、各人のキャリアや、その背景となる人生、これからめざす世界観について対話することで、表層的なテクニック論を超えた気づきや学びが起こる場となりました。(本イベントは、2020年10月22日に開催されました。)

 

目次 Report index
登壇者プロフィール 
なぜ海外MBAを選択したのか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
MBAを取得して役に立ったこと
今後のキャリア
「自分を生かす事」と「より良い世界をつくる事」は一致している
コメント・質疑応答
クロージング

 

◆登壇者プロフィール

五十嵐 剛志 Takeshi Igarashi

オクスフォード大学MBA在籍。Oxford Impact Investing Society Vice-President。PwC、内閣府を経てグロービスでKIBOW社会投資ファンドを担当。認定NPO法人Teach For Japan元CFO、NPO法人Accountability for Change創設者。社会課題解決のためのファイナンスやインパクト評価に関する調査、研修、政策企画、投資業務に従事。慶應義塾大学経済学部卒業、公認会計士。インパクト投資に関する知見とネットワークを広げるため、オクスフォード大学MBAへ進学。

 

香月 一真 Kazuma Katsuki

ミシガン大学ロスビジネススクールMBA在籍。大学卒業後、日立製作所にて品質管理を担当。試作品の品質評価やサプライヤー監査、不具合対応等を行う。2019年にGEMSTONE主宰の新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム「Co-Pro」に参加し、社会問題に真摯に向き合う起業家や情熱溢れるチームメイトに刺激を受ける。社会に良い影響を与えるため、また困難な環境で自分を成長させるため、ミシガン大MBAへ進学。

 

才木 貞治 Sadaharu Saiki

電通本社にて6年間、大手自動車会社担当営業として、100ヵ国ブランドキャンペーンや大規模スポーツイベントといったグローバルプロジェクトを歴任。また、震災時には福島県いわき市の農林水産業風評被害払拭プロジェクト「見せます!いわき」を担当(2013年グッドデザイン賞受賞)。その後、インド・バンガロールにて3年間、Directorとして日系企業支援を担当。2018年よりHarvard MBAへ進学し複数のクラブ活動およびケニア、南アフリカ、ワシントンD.C.でのインターンを経験。2020年にDistinction(上位10-15%の成績)で卒業。アフリカとソーシャルインパクトと食べること全般に強い興味を持つ。

 

深町 英樹 Hideki Fukamachi

国際事業家・事業育成コーチ。幼少期をパキスタンで過ごし、アジアの暖かさと格差の現実の中で育つ。11年のヤンマー(株)勤務を通して、北米事業立上げ、米国駐在、企業戦略・M&A等を担う。2014年より社会的事業の道を歩み、二社目の創業となるGEMSTONEを2017年に設立し代表へ就任。ミャンマーにおける図書館事業、インドネシアでのソーシャルベンチャー共創プログラム「Co-Pro」など、国内と海外を両輪として、より良い未来を願う人や組織と共創し、願いから事業を育んでいる。国際基督教大学卒、オクスフォード大学MBA(Class of 2012)・JETROアジア経済研究所開発スクール修了。

 

モデレーター 今尾 江美子 Emiko Imao

独立行政法人国際協力機構(JICA)にて官民連携を担当後、2017年よりGEMSTONEに参画。社会的事業開発支援等、ビジネス・金融と社会課題解決をつなぐことに取り組んでいる。上智大学卒、JETROアジア経済研究所開発スクール、デューク大学公共政策大学院修了。


◆なぜ海外MBAを選択したのか?

オクスフォード大学の校舎の外観(写真提供:五十嵐さん)

 

今尾:早速ですが、なぜMBAという道を選択されたのでしょうか?

 

五十嵐:私は元々、内閣府でインパクト投資関連の仕事に携わっていました。その仕事の一環で世界各地の大学や大学院を訪問するうちに、「インパクト投資への知見をさらに深めたい」「ソーシャルファイナンスの世界的権威であるアレックス・ニコルズ教授から学びたい」という想いが強くなり、オクスフォード大学で学ぶことを決めました。

 

香月:前職では、インフラに携わるメーカーでエンジニアをしていました。前職を選んだ理由は、「仕事を通して社会に貢献したい」という想いがあったから。でも、実際に働いてみると、自分に与えられた裁量が全体の中のごく一部だったことや業務の多くはトラブルへの対応だったことから、社会に貢献しているという実感が得られず、「このままで良いのか」と悩み、違う道に進むことを考え始めました。MBAを取得せずに転職するという選択肢もあったのですが、エンジニアしか経験したことのない自分は、「仕事を通して社会に貢献したい」という目標に対して能力が全然足りていないという自覚があり、MBAを通してビジネススキルを身に付けたいと考えるようになったのが大きな理由です。

 

才木:私は、広告関連の会社で主に営業として働いていました。仕事に対するやりがいはあったものの、このままキャリアを歩んでいいのか、疑問を抱くように・・・。また、大学時代に経済や経営について一切勉強しておらず、ビジネスの「ビ」の字も知らないという自覚があったので、MBAで勉強して、スキルアップを図りたいと思うようになりました。進学先については(体育会系の発想なのかもしれないですが)、「一番厳しく追い込まれる環境に身を置きたい」と思い、数あるMBAの中でもハーバード大学を選びました。予想通り、入学してから2ヶ月目くらいまでは「なんでハーバードに進学したんだろう」と思ってしまうくらい、めちゃくちゃきつかったです(笑)

 

深町:MBAか開発系の大学院か迷っていたのですが、オクスフォード大学のビジネススクールは社会的起業(Social Entrepreneurship)を旗印にしており、それに関心のある学生が多かったこと、そして卒業生の進路を見ても社会的事業に進む人が多くいたため、オクスフォード大学でのMBAを選択しました。また、海外で多様なキャリア・経験を積んだクラスメイトと学ぶことが面白そう、という単純な動機もありました。MBAへの進学を決めた理由としては、こちらの動機の方が強かったと思います。


◆新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響

同級生とのミーティング兼飲み会の様子(写真提供:香月さん)

今尾:現在、五十嵐さんと香月さんはMBAに在籍中で、今日の座談会も現地からご参加いただいていますが、授業はどのような形で開催されていますか?

 

五十嵐:私の通っているオクスフォード大学は、ロンドンから電車で1時間半ほど離れた郊外にあるので、コロナの影響はそこまで強くないかと思います。ほとんどの授業は、学生の人数を減らした状態で、対面型で実施されていますね。教室内ではソーシャルディスタンスをとって授業を受けています。元々80人ほどで受けていた授業が約20人に減らされ、授業中の発言の機会はほぼ100%あります。そこはコロナ禍におけるメリットといえるかもしれません。

 

香月:私はアメリカのミシガン大学に通っていますが、大学側は対面とオンラインのハイブリッド型授業と謳いつつも、実際はほぼオンライン授業です。キャンパスに行く機会は週に一度あるかないかくらいです。


◆MBAを取得して役に立ったこと

ハーバードビジネススクールを背景に(写真提供:才木さん)

今尾:MBAを取得して、「役に立った」と感じることはありますか?

 

深町:まず、根拠のない自信がついたこと。

 

才木・五十嵐・香月:同感です(笑)

 

深町:あとは「同級生との繋がり」です。特に自分はオクスフォード大学の価値を卒業後に改めて認識したのですが、社会的事業というのは、世間的にはまだまだ理解が得られにくいですが、その話を分かってくれる人が世界各地にいて、話し合えたり助言をくれたりするというのが非常に心強いです。

 

才木:深町さんが先ほど仰った「根拠のない自信がつく」というのは、本当にその通りだと思います。MBAでの評価方法は相対評価なので、優秀な同級生たちを前にして、なんとかして発言しないと単位がもらえません。そうやって日々鍛えられていきました。自信なんて元々なかったけれど、鍛えられていくうちに無理やり自信を持たされるような、そんな感覚です。

 

五十嵐:まだ在学中なので、現時点で私の考えるMBAのメリットについてお話しします。経営の知識を身に付けることはもちろん大切なのですが、それよりも安心してチャレンジできる環境や人との繋がりが得られたことでしょうか。仕事において、基本的に失敗は許されません。でも、MBAではたとえば授業で変な発言をするなど、何か失敗してしまっても、許される。大学でさまざまな課外活動があり、そのリーダーを選挙などの形で募集しているのですが、「どんどん冒険してみよう」というチャレンジ精神で興味があるものに全て応募しました。おかげで今は目が回らないくらい忙しいですが、少しでも多くの学びを持ち帰りたいので、積極的に動いています。

 

香月:私は、自分に対して全く自信が持てていなかったのと、失敗することへの恐怖心がありました。でも、どこかでしんどい思いをしないと、それは変えられない。MBAでの授業はハードですが、無事に乗り越えてMBAを取得できれば、自分に対して自信が持てたり、失敗することへの恐怖心が克服できたりするのではないかと期待しています。


◆今後のキャリア

オクスフォード大学卒業時の様子(写真提供:深町さん)

今尾:MBA取得後のキャリアについてどのように考えていらっしゃいますか。

 

五十嵐:こんなことを言うのは若干気恥ずかしいのですが、私は「世界のすべての人に平等に機会があり、彼らのポテンシャルが発揮できる社会」を目指したいと本気で考えており、そのためには「可能性を信じ、引き出す」教育や投資が不可欠だと考えています。以前からインパクト投資関連の仕事をしていますが、日本はインパクト投資に関するポテンシャルが非常に高いと信じています。近い将来、今自分が英国に学びに来ているように、「インパクト投資といえば日本」というように、海外から日本に学びにくるくらい、日本で発展させることが目標です。

 

才木:私は、アフリカに渡りたいです。アフリカのベンチャーキャピタルやスタートアップで働きたいと考えています。あとは、先ほど五十嵐さんが仰っていましたが、日本発のグローバルインパクト投資ファンドがつくれたらいいなと思っています。

 

香月:私は、私は再生エネルギーの分野で話題のマイクログリッドに関わりたいと考えています。マイクログリッドというのは、コミュニティの中でエネルギー供給源と消費施設を持つことで電力の地産地消を目指す、小規模なエネルギーネットワークのことを指します。エネルギー供給源には太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などがあります。マイクログリッドのしくみを使えば、途上国の農村部など、未電化地域にも電力を供給できます。彼らがその電力を使って情報にアクセスできるようになれば、コミュニティを破壊することなく発展していくことが可能になるかもしれません。ファーストキャリアとしては、マイクログリッドや再生可能エネルギーの分野において、エンジニアとビジネスの間に立つような、プロダクトマネージャーのような立ち位置で働けたらと思っています。

 

深町:今後のキャリアに繋がる背景として、私の原体験やMBA卒業後のキャリアをお話させて下さい。私は幼少期をパキスタンで過ごしました。パキスタンの人々の温かさに触れる機会が多かった一方で、自分と同い年くらいの年で路上で死んだ目をして物乞いをする少年たちを日常的に目にし、格差の現実も認識しながら育ちました。また、並行する原体験として、家族のことがあります。特に父について。やりたいはずの仕事をしているのに自分を生かすことに苦しんでいたようで悩みが多く、その影響で家庭内でも喧嘩が頻発するような環境でした。それらの原体験が重なり「人が自分らしく、幸せに生きられたらいいな」という事を目指して生きてきたように思います。それは、あの路上の少年も、そして自分や自分たちも。あの頃から今も自分のハートは変わってなくて。「人としての尊厳が保たれて、可能性が開ける、望む人生を生きられるといい」。これは自分が根太く思っていること。今は「想いが輝く世界をつくる」という言葉で表現しています。

MBA取得後もこの根っこは同じで。卒業後はBOPやSDGsビジネス、社会課題解決型ビジネスというテーマに自分を重ねて、その領域で仕事をしていました。でも、そのテーマ・課題解決だけを握るだけでは徐々に幸せにできている感覚が薄くなっていって。いいことやってるけどすり減っていた、課題解決の為の歯車として自分を見ていた、MBAで学んだ事を使おうとするあまりにつまらない人間になって自分が本来信じている事を使えなくなったりした失敗体験が結構あって。それで一社目を手放すなど、痛い経験をしました。2社目の創業となるGEMSTONEでは、それを生かそうとして仕事をしています。具体的にはワクワクする目の前の仕事を、ワクワクする仲間と一つ一つ積み重ねていきたいと考えています。根っこの方向性は変わらないので。


◆「自分を生かす事」と「より良い世界をつくる事」は一致している

深町:その行動で積み上げて来たものの一つとして私たちのEMERGEプログラムを紹介させて下さい。この座談会はプログラムと連動した企画でもあります。パネリストの(香月)一真さんが参加してくれていた新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム「Co-Pro」は、途上国のソーシャルベンチャーの経営課題解決に取り組むプロジェクトで、第3弾の開催を進めていました。しかし、コロナの影響で渡航できなくなり、遠隔だけで進めるにはもったいないプロジェクト内容なので、キャンセルせざるを得ませんでした。形を変えてCo-Proのキャリア開発・リーダーシップ開発部分に特化し、進化させたのが3ヶ月のオンラインプログラムEMERGEです。

プログラムの背景は、「自分を生かす事」と「より良い世界をつくる事」はすごく一致しているという哲学です。周囲に合わせる事、自分を押し殺すことは、世の為にも、成果の為にもいいと私は思っていません。でも、一人でその歩みを進めるのはなかなか難しい。自分もそうでした。なので、「自分を生かす×より良い世界をつくる」という生き方を一緒につくれたらいいなと開発しました。

EMERGEは、6回のグループセッションが軸。自分のこれまで・今やキャリアを場に出して、リードファシリテーターやチームがそこに全力で関わります。並行して、個別の伴走支援、グループプロジェクトも実施。経験と学習のループについても記載していますが、詳細はプログラムのページをご覧ください。11月15日が申込締切(10月31日まで早割)です。そして、EMERGEの説明会・体験会を11月8日に開催します。

オンラインプログラム「EMERGE」の詳細はこちら

深町:せっかくなので、今日来てくれているEMERGE第1弾の参加者に話を聞いてみたいと思います。(岡本)祐太郎さん、お願いできますか?

 

岡本:EMERGE第一弾に参加しました岡本と申します。本業のキャリアではタカラトミー、デロイトを経て、今はアクセンチュアで経営コンサルをしています。ソーシャルインパクトには以前から興味があり、また、MBA対策もAGOSで4年くらい勉強しており、来年9月の入学を目指して準備をしています。その中でも、GMATなどの対策が大変で、「本業も忙しい中で身を削って勉強しないといけないし、仮に進学できたとしても学費や生活費に2000万円かかる。ソーシャルインパクトを仕事にしたい、でもこれで本当にいいのかな?」と悩んでいました。そんな中で、通っていたAGOSでGEMSTONEの講演を聞く機会があり、参加しました。その講演の中でCo-Proの説明があり、面白そうなので参加しようとしていたのですが、コロナで中止になったため、代わりに開催されることとなったEMERGEに参加してみました。とはいえ、プログラムではどんなことをするのかなと半信半疑でもありました。

 

今は個人的には、参加してめちゃくちゃ良かったと思っています。最初、値段は10-20万円ほどで高いなと思っていたのですが、でもプログラムの途中から「安すぎるんじゃないか、運営大丈夫かな?」と思うようになりました。自分の中で一番価値があったなと思うのは、自分の中で演じたくない自分を演じてたところがあったと気づき向き合えたところです。自分は野球をやっていたのですが、中学くらいまではみんなで「優勝目指すぞー!」と言いながら、ワイワイやっていました。でも、高校からレギュラー争いが熾烈になって、しがらみもあったり、監督とウマが合わなくなったり。その頃から、影で黙々と努力するようなタイプになっていきました。結果、レギュラーも取れ、プロになりたいと同志社大学に入り、野球を頑張っていましたが、その時もあんまり面白くなくて。社会人になっても、影で努力して結果出して、みたいなスタイルだった。本当はみんなとふざけてワイワイしたいのに、常にリーダーシップみたいなポジションを取らなきゃいけない、みたいな空気をいつの間にかつくっていた。本当は共通の目標を持った仲間と、締めるとこ締めて、みんなでワイワイやりたい。それがしたい事なんだなって気づいて。その結果、プログラム中に何が生まれたかというと、「MBAに行きたい!」という気持ち。MBAでレベルの高い人たちと刺激し合いながらワイワイやりたい。その先にソーシャルインパクトを目指したい、と。あと、EMERGEでは、一緒にワイワイやった仲間もできた、自分では気づかない視点からの気づきも得られた。まとめると、知りたかったけど押さえ込んでいた価値観を得られた、かけがえなのない仲間を得られた。お値段以上ですよ(笑)。

 

今尾:MBAにそのまま行くこともできたけど、一旦立ち止まって考える時間を作ることによって、改めて選択に自信を持てたというところですかね。体験談を共有頂き、ありがとうございました。


◆コメント・質疑応答

平出(GEMSTONEプロボノメンバー、London Business School在籍):こんばんは、平出です。現在London Business Schoolの2年目に在籍しています。今回は今自分がなぜここにいるのか、頭を整理する良い経験になりました。ありがとうございます。MBAのストーリーは人によって違うのだなと思いました。同じオックスフォードでも五十嵐さんはマクロからミクロへと向かっている視点。深町さんはミクロな世界から考えていて、でもそれも本質で。MBAと一言で言っても考え方が違って、他から刺激を受けるのはいいんだけど、でも自分のストーリーは他の人には捏造はできないものだなと。

 

深町:念のため平出さんが指名されて話した理由を説明しておくと、今日はGEMSTONEの関係者が結構入ってくれていて、彼は日本にいる頃にプロボノで入ってくれていた方。また、パネリストの才木さんはGEMSTONEインターンとしてロゴやタグラインの制作をしてくれた方です。その節はお世話になりました。

 

今尾:みんなどんどん飛躍して世界に飛び出していくという、、、。

 

ご参加者:ソーシャルエンタープライズに興味あるが、この文脈で開発・公共政策、MBAどこに留学するかで悩んでいる。今の段階だと学べることが重なってくるところが多いのかなと思っていて、尚更悩んでいる。そこをチョイスするときにどういう判断軸で選んだのか教えて頂きたい。

 

今尾:私も迷いました。MBAと公共政策と。私は、離れたところに行ってそれをつなげていくというのがイメージとしてあって。それまで金融セクターにいたのでビジネスサイドは見ていて、当時の判断としては離れたところに行こうと思いました。あと、隣がビジネススクールなので、ソーシャルアントレの授業をとったりしてやっていこうとしてメインを公共政策として選びました。

 

深町:真面目な答えと真面目でない答えがあって。真面目サイドは「何者で何を為すのか」がキー。私は実践者なんですよね。研究は興味はあるけど、本質として肌には合わない。ビジネスを回して、インパクトを作って、その循環を作っていく。それを実践する立場で生きたいと思うと、それに近いのはMBAという選択でした。真面目じゃない方は、簡単に比べちゃいけなんだけど、ビジネススクールの方が、キャリアなど、色んな経験を積んだ人が世界中から来る。だから、面白そう、と思いました。こちらの方がどちらかというと本音。イギリスを選んだのもその視点があった。私の選択はそんな感じでした。

 

この後、パネリスト別の部屋に分かれて個別ディスカッション

◆クロージング

今尾:最後に、登壇者の皆さんから一言お願いします。

五十嵐:本日ご参加いただいた方、本当にありがとうございました。MBA×社会起業というかなり日本ではまだまだマニアックなのかなと思える領域で、関心を持っていただけること自体ありがたいことですし、日本でもこれを盛り上げていきたいと思います。

すでにMBA行かれているかたもそうですし、これからチャレンジしたいという方は僕らと一緒にこのムーブメントを進めていけたらと思います。今日気持ちが高まった方はEMERGEにぜひ参加いただけたらと。これ、エッセイを書く上でも最適だと思うので、「自分の軸を見つける」っていう。なんかステマみたいになっちゃいましたけれど(笑)。ぜひぜひ自分の軸を見つけて、それをMBAで磨いて、日本なり世界に貢献できるようなムーブメントをみんなでつくっていけたら嬉しいと思います。本日はありがとうございました。

 

香月:本日は参加いただきありがとうございました。五十嵐さんみたいな流暢な宣伝は私は苦手なので。エンジニアなのでほんとに。電子回路をおいかけることばかりやっていたので(笑)。やっぱりこうやって集まって似たような志を持った方がこれだけいて、想いをもって毎日生きてるということを知るだけですごく励みになりますし、自分がなんでここにいるのか、何をしにここに来たのかというのをもう一回整理できたというか、思い出せたということですごく貴重な時間でした。ありがとうございました。

 

才木:本当にお忙しい中皆さんありがとうございました。あと、こういう機会頂いてありがとうございました。私はやっぱり、いつまで経っても、結構悩みがちな人間でして…

ずーっと自信が…根拠のない自信をもちつつ、自信がなかなかもてないみたいな、そんな人間なんですけど。こういうEMERGEの話をきいていて、たぶん結局は知識とかよりももっと大事なのってどういう風に決断をしていくか、どうやってディシジョンメイクしていくのか、どうやって自分というものを理解して、世界を理解して歩みを進めていくのかというスキルのほうが、非常に抽象的なんですけど、何かタンジブルな知識やタンジブルなスキルを得ることよりも、もしかしたら重要かもしれないなとHBSを出てみても思いますし、ずーっと悩みながらも前に進んでいけるような技術が一番大事なんじゃないかと。そう思ったときに、EMERGEみたいなものはすごくいいんじゃないかと思いました。広告出身なのに宣伝が下手くそでで申し訳ないんですけど、私もすごくいいプログラムなんじゃないかと思っています。みなさんそれぞれいろんなこと悩んで、いろんなことやっていると思うんですけど、みなさんが、何かしら自分なりに良い答えがだせて、前に進めたと自分で感じられたらそれが正解だと思うので、みんながんばってほしいなと思います。

 

深町:今日はご参加いただきありがとうございました。一人ひとりとすごくゆっくり話したいのに、話足りないな感がすごい半端なですけど、こういうイベントって出会いの場だと思うので、これをご縁に、すでにつながっている人はまた話せたらいいし、新しい人は、これからよろしくお願いします。MBAの現役とか卒業直後の話を聴いて、本当にマジ優秀というか、素晴らしいなと思って感動しました。それと共に、自分が卒業から9年経っていて、そのあとを生きてきたんだなという感覚が、かなり蘇ってきました。むしろ私は、MBA後に失敗の量が増えているんですよね。痛い目に死ぬほどあっていて。でも、それこそが大事というか。痛い目にあって、なんとか立ち直ったときって、ちょっと磨かれている…玉ねぎの皮が1皮剥がれてっていうような…それを繰り返しています。いつまでも経ってもこんな感じだな、と思いました。けど、なんとか生きているからいいかみたいな感じで。 今日は知った顔も、初めての人もいっぱいいて、豊かな場だなと思って嬉しくなっていました。

 

今尾:今日はイギリスやアメリカからの参加者を含め、焚き火を囲みながら、なぜMBAだったのか、これからどうしていきたいのか、これからより良い社会をつくるどのような人間になっていきたいのかなどそれぞれの考えているところは話していただき、皆さんそれぞれの心に届いたのかなと思います。GEMSTONEでは今後も11月8日にEMERGEの説明会・体験会、11月10日に国際開発に寄せた今日のような回を予定しています。Facebookなどもぜひフォローください。皆さん、今日はどうもありがとうございました。

 

(記事執筆:鈴木麻由、GEMSTONE)