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2021/01/19
組織・人創り支援

GEMSTONEが主催する3ヶ月間のオンラインプログラム「EMERGE」。そこでは、参加者6名とファシリテーター3名が集合する全体セッションを軸として、多様な形での伴走が実施されます。その一つが、参加者とファシリテーターが1対1で対話する個別セッション。今回は、その個別セッションでの様子の一部を、お届けします。

右:小畠瑞代さん(EMERGE参加者)認定NPO法人かものはしプロジェクト 広報ファンドレイジングディレクター/システムコーチ
左:今尾江美子(EMERGEファシリテーター)GEMSTONE パートナー

「一人で何でもできる」が自分の強みだと思っていたのに

小畠:前回の全体セッション(2021年1月9日)で、いまの私の状態は「波の上に頑張って一人で立ち続けようとしている感じ」と言われたことが、とても衝撃的だったんです。たしかに、私は一人で何でもできることを、ある種、自分自身の強みや価値として今までやってきたところがある。でも、ここにきて「なんで一人で頑張っているんだっけ?何に抗っているんだっけ?」と感じ始め、なんだかもやもやした気持ちになったり、自分の生存戦略だった「一人で何でもできること」の、その先を見てみたいと思うようになったり…。いま、そんな感じです。

今尾:きっと今、人生における大きな変化の時にいるんでしょうね。たとえるなら、鎖国して一人で頑張っていた江戸時代から、開国して世界とつながる明治時代に移行する、幕末期のような。自分の中の一つの時代が終わるくらいの大きな変化なのかもと感じます。

小畠:そうかもしれないです。でも、どのタイミングで変わっていけばいいんだろう。変わることに躊躇してしまう自分がいて、ただ流れに身を任せるのも、何か違う気がしています

今尾:人って、変化の前と後で見えるものが全然違いますよね。変化した後だと、それを振り返って「なんであんなことに躊躇していたんだろう」と感じたり、もはや何に躊躇していたかを思い出せなかったり。私の場合、退職や留学を決めた時は、無謀だなと思っていたのですが、壁の向こうに行ってみると、高くそびえていたはずの壁が、何だか低く思えて、その代わり、目の前にまた新たな壁が立ちはだかる。結局、その繰り返しなのかなと思ったりもします。

自分の中の、二つの人格

小畠:もう一つ悩んでいるのが、今後の自分の生き方についてです。何か新しいことに挑戦したいという気持ちがあるのに、どこか自分の中でブレーキをかけてしまうこと。挑戦へのわくわく感は明確にあるのに、今までのパターンを変えるとなると、いろいろ発生する障壁やまだ見ぬ不安に対して億劫に感じてしまい、身動きが取れない状況にいます。EMERGEに参加したことで、「このままじゃ駄目だ、一歩踏み出さなきゃ」と背中を押されている感覚はあるのですが…。

今尾:変化することへの恐れだけではなく、自分の中に「子ども」の自分と「大人」の自分という二つの人格があって、両者がせめぎ合っているから、なかなか足を踏み出せないのかもと感じます。変わりたい、新しい場所に行きたい、という好奇心に純粋な「子ども」の自分と、変わることで失うものや、それに伴うリスクなどいろいろ考えてしまう「大人」の自分。

小畠:「子ども」の自分と「大人」の自分!その発想はなかったです。でも、そう考えることで、留まろうとする自分も肯定することができる気がします。これまでは、踏み出せない自分をもどかしく、少し否定的に考えていました。

「子ども」の自分と「大人」の自分のせめぎ合い

今尾:「子ども」の自分と「大人」の自分は、どういう判断軸で物事を考えていると思いますか?

小畠:「子ども」の自分は「自分にとってワクワクすることか?新しいか?」。しばらく同じことをやっていたり、やりきった感覚が芽生えると、その時点でワクワクしなくなり、別の新しいことに興味が向いてしまいますね…。「大人」の自分は、「子ども」の自分を尊重しつつ、わざわざ新しい場所に出向いて、怪我させるようなことはしたくないとか…。安全を優先したいという気持ちでしょうか。

今尾:今は、その「子ども」の自分と「大人」の自分が相談している真っ最中なんでしょうね。そして最後は、どちらかが勝ってどちらかが負けるわけではなくて、合意に至るのだと思います。一見、二人は相反するように見えるけれど、ともに共通して大事にしている何かがある。それを見つけた時に、二人とも納得して先に進めるんじゃないでしょうか。

小畠:たしかに!過去を振り返ってみると、人生の大きな方向転換の時も、二人の自分のせめぎ合いが長引いて、3年くらいかかったんです。その時は、最終的に「どちらを選択した方が死ぬ時に後悔しないか」を考えて決断しました。

今尾:それは、もしかすると二人の合意ポイントになるかもしれないですね。小畠さんは今、「自分らしさ」や「自分とは何か」といった根底の部分に関わる変化の時期なんだと思います。だから、時間はかかるのかもしれません。でも、ここでの時間、ここで考えたことは、竹の節目みたいになって、これから人生を支えていくのではと思います。

小畠:そうですね。これまで、なかなか変われない自分をもどかしく思ったり、もう考えることをやめようと思ったりもしていたのですが、焦って結論を出すよりも、自分と向き合うこの時間を、もっと味わおう、大切にしようと思えました。この「自分と向き合う」プロセスは(いい意味で)少し苦しくて、「EMERGEに気軽に参加するんじゃなかった!」という気持ちですが(笑)、あと1ヶ月弱、じっくり考えてみたいと思います。

個別セッション終了後、「この1時間で、自分のもやもやの根源がまさに”emerge”した感覚があります!」と小畠さん。最終セッションまでに、どんな新しい景色にたどり着くのか、楽しみです。

(文:鈴木麻由・今尾江美子/GEMSTONE)

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